現在、日本のプロ野球でマウンドに登るピッチャーのほとんどが投げる変化球にスライダーがあります。横向きの回転を球に加えることによって利き手とは逆側、右投手で言えば左バッターボックスのほうへと切れていくような変化をするボールで、主にオーバースロー、スリークォーターという投法のピッチャーが投げますが、ときたまサイドスローのピッチャーが武器にしていることもあります。右投手のスライダーは右バッターにとっては遠ざかるように、左バッターにとっては内角に食い込んでくるように変化するので、空振りを奪うことも詰まらせることもできる変化球です。
スライダーと言っても、様々な種類があります。概ねの回転方向が横に向かって変化するスライダーと一致していますが、回転軸の向きの些細な違いによってフォークボールを思わせるストンとまっすぐ落ちる縦スライダーという球種になったり、カーブのような斜め向きに切れていくスライダーになることもあります。
握りはフォーシームの握りを、人差し指と中指を小指側に寄せたような握りをするのがメジャーです。ですが、非常に個人差があり、どの握りが正解、ということはありません。思い切って回転をかけるために右ピッチャーはリリースの際、手首を一塁の方向に叩きつける感覚で投げる、というのはとあるピッチャーの談です。この変化球は回転の分だけ変化がかかるため、強い回転こそがミソです。
器用な運用法ができ、握りひとつで変化させられ、投げ方によっては変化のバリエーションを表現できるこのボールを決め球にしているピッチャーは先発投手だろうと中継ぎ投手だろうと多くいますが、指先が球の表面で滑るために細かなコントロールが効きやすいとはいえず、また腕の振りが微妙にストレートと異なることから読まれれば打たれる可能性は多分にあり、過信は禁物です。
しかし、自由自在に操れるようになれば試合を有利に進められるポテンシャルを持った変化球であるだけに、極めれば武器として輝いてくれるはずです。