フォークボールとは変化球の一種で、打者の手前でストン、とまっすぐに落ちる軌道を描く変化球です。その変化の原理は、緩い回転数で投じられたボールが空気の流れに乱れを起こし直進できないために自然に落ちることで、放物線に近い軌道を描くことです。バックスピンによって揚力を生み、軌道が沈まないように投げるストレートとは対極にあると言えます。
フォークボールに似た気流の変化はナックルボールでも起こりますが、揺れて不規則に変化するナックルボールより回転軸が一定し球速もあるフォークボールは揺れずに、伸びるような軌道からある程度決まった方向にスッと落ちます。しかし、真に無回転なフォークボールを投げる投手も稀におり、その場合はナックルボールのように揺れることが知られています。
日本球界ではかなりメジャーな変化球で、特に抑え投手にとっては不可欠な変化球である、というひとも少なくはありません。その理由は、ナックルボールなどに比べ比較的コントロールしやすく球速も出て、ストレートと同じ腕の振りで投げられるうえ落差も大きいので奪三振を狙ううえで非常に有効な変化球であるからです。
近年はフォークボールを使用する投手の数がそれまでに比べ減少した、と言われています。理由は、フォークボールの投げ方にあり、人差し指と中指の間にボールを挟み、手首を立てた状態で振り抜くというものですが、非常に握力を要します。
握力が不足している場合、すっぽ抜けて変化しなかったり、あらぬ方向へ向かって飛んで行ったりと上手くフォークを投げることができません。この抜けることを嫌い、あるいは肩や肘にかかる負担を嫌って、投げやすくコントロールしやすい落ちる球であるスプリットフィンガー・ファストボールやチェンジアップが現在の主流となっている、という見方をする人も少なくはありません。リスクも大きい分、ものにすればその途中までストレートと見まがう軌道と突然の変化で打者を打ち取る武器になってくれるはずです。